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海里くんから舌打ちが聞こえてびっくりした。初めて聞いた気がする。
ていうか、今なんて言った?
声が低過ぎてよく聞こえなかったけど多分瑠美のことだよね。
私、友達が女だってこと言ったっけ……いやそれよりもなんか怖い。
これも冗談……?
「海里くん……?」
「なに?」
「いや、いきなり声低くなったからどうしたのかなって」
「ああごめん。プレイ中じゃないのにちょっと出ちゃった」
「なるほど……」
プレイ中だってこんな低い声出してなかった気がするけど……記憶がないだけ?
私が戸惑っていると、ようやく海里くんはいつもの笑みを浮かべてふざけながらもちゃんと謝ってくれた。
「ごめんね。怖かった?」
「ちょっとね。舌打ち初めて聞いたし」
「ああ、最近手に入りそうだったものがなかなか手に入らなくてイラついてたのかも」
「そうなんだ。そういうこともあるよね。私も好きなバンドのチケットがなかなか手に入らなくて辛い」
「あはは、俺の知り合いに関係者いるから譲ってもらえるか聞いてみようか?」
「いいの!?海里くん最高!!」
「まだわかんないけどね」
そう言って喜ぶ私の頭を撫でる海里くん。
うん、こういうことをされると彼氏だと錯覚しちゃうよね。
瑠美だったら絶対落ちてたよな……。
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