38. エピローグ「私を信じろ」

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 今はこんなだけど、と柚姫は思う。  きっとトワとチトセは仲良くなれる、そんな気がする。もう既に、本当は仲がいいのではないかと思っているのだから――  柚姫は自室のベッドへと逃げ込んだが、 「……柚姫、私から逃れられると思うなよ?」  柚姫がベッドに突っ伏したのとほぼ同時に、トワがギシっ……とベッドを軋ませてのぼって来た。  柚姫を仰向けにし、両手を抑えつける。 「え~……と、この体勢は……?」  おずおずと柚姫が尋ねると、 「食事の時間だ」  トワはきらっと牙を光らせた。 「それとも、もっと違うことを想像したか? ん?」  柚姫はふるふると首を振り、大人しくする。 「良い心がけだ」  トワは、首に張り付いた髪を優しくはらい、顔を近づけてくる。  そして、囁いた。 「私を信じろ」  その言葉に、柚姫ははっとなる。  羽のようにふわりと囁かれた言葉が、まるでトワが自分自身に言い聞かせているようにも聞こえたのだ。  そうだ――不安なのは私だけじゃない。  血を吸い過ぎて、死に至らしめてしまうのではないか、そういう不安をトワも抱えているのだ。  柚姫は目を閉じ、全てをトワに委ねる。 「信じてるよ、トワ」 「柚姫……」  トワの吐息が首筋にかかる。  血を吸われるのもキスも……トワから与えられるものは全て甘くて、優しくて、意識が(とろ)けそうになる。  愛も、不安も……恐れも、全部……この人と一緒に抱えていこうと、柚姫は確かな幸福感の中、心からそう思った――  ~fin~
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