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3. ふ……決めた。ここに住むぞ。
「わ、私の血を吸った……のよね?」
柚姫が不安そうに訊ねると、トワは薄く笑みを浮かべた。
「お前の血は極上だな。我を忘れて危うくミイラにするところだった。だが安心しろ、血を吸われただけで吸血鬼になることはない」
吸血鬼にならないと聞いて安心するも、ミイラという言葉に柚姫はさーっと血の気の引く音を聞いた。
「い、命の恩人を殺す気なの!?」
トワの頬がぴくりと動く。
「そう……そのことについて、一言文句を言ってやろうと思っていたところだ」
「へっ?」
まぬけな声を上げた柚姫に、トワは憮然と訊いた。
「何故、私を助けた?」
「何故って、死にそうだったから……」
「私は、助けてくれなんて頼んだ覚えはない」
「ちょっと! 人の好意は素直に受けなさいよね!」
冷たい物言いに思わず抗議するが、
「好意? 私は死のうとしてたんだぞ!」
「死のうとしてたからって――」
そこまで言いかけ、柚姫は言葉を飲み込んだ。
えっ? 死?
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