38. エピローグ「私を信じろ」

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38. エピローグ「私を信じろ」

 リビングに入るなり、トワは柚姫の持っている袋に難色を示した。 「捨てろ」 「え……せめて開けてみようよ。なんか、けっこう重いよこれ……?」  柚姫は袋の中から、がさがさと中身を取り出し、ソファーの上に置いた。  質素な包装紙に包まれた柔らかい大きなものと、薔薇模様の包装紙に包まれた小さな箱らしきもの。 「何だろう……?」  てっきりまた、お菓子類かと思ったんだけど……。  とりあえず、大きな方から開けてみる。 「これはー……」  中から出てきたのは、四角くて、平べったくて、抹茶色でちょっと庶民的なデザインの…… 「座布団?」  それは何処からどう見ても、座布団だ。  って、何で座布団? と思ってから柚姫は、はたと屋上でのトワとチトセのやり取りを思い出す。  ――座布団、さしあげましょうか?  涼しい声で、チトセは確かにそう言っていた。  いや、しかし、まさかあれが本気だったとは……。  いや、それよりも、だ。  柚姫は、ちらりとトワを見る。  ……ほら、やっぱり怒ってる。  トワは眉間にしわを寄せ、座布団を睨んでいる。  しかし、その口から零れたのは―― 「何で一つなんだ。柚姫の分がない」  突っ込みどこはそこ!?   しかも、ちゃっかり自分のものにしているし……。  でも何となく、それはトワ宛てで間違いない気もした。包装が雑だったから、という理由はトワには内緒だ。
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