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恋愛指南はお手軟かに
里香さんは、昨日の出来事を聞きながら一言「あんた馬鹿?」と呆れた顔でイライラしながら言った。
「だってね・・急だしね。」
「恋に急も何も無いでしょう―が!!」
まるで小説みたいだと言いながら彼の申し出を一度断ったと言う話を聞いて信じられないと馬鹿なのかと言う里香。
「別れる気が無かったって言ってたけど、あれから一度も連絡も無かったんだよ?」
「そこは何故か聞かなかったの?」
あ!そこを聞けば良かったと言うと溜息をつきながら恋愛初心者は何してるのよと何故か陽菜は叱られる。
「もう一度付き合ってみてダメなら別れたら良いんだからそこは付き合えば良かったのよ。何?友達以上で恋人未満?」
高校生の恋愛じゃないでしょう?と言われても高校生の時しか付き合って無い陽菜にとってはある意味仕方ない事だった。
「でも・・彼もよくそんな8年前の約束なんて覚えていたわね。」
「そうなんですよね~私は忘れてました。」
「女の方がその辺ドライなんだよね。」
陽菜は、確かにそうかも知れないと思う。彼との写真は思い出として実家にあるが一枚もこっちには持って来ていない。
「それで彼の今の職業は?」
「聞いてませんよ。」
「なんで!普通は聞くでしょう?」
「ですよね、ホテルではジャージと言うかスエットの上下でブランド物だったけど同窓会に来る感じではなくまるで家でいるような格好だったしこの間は爽やかな感じの服装だったけど。」
「聞けばわかるじゃない!」
「聞けませんよ。なんか聞けない。でも車は高級車でした。」
高級車としか言えない陽菜の為に里香はどんな感じの車だったかを聞いてくれる。
「ベンツはわかるからベンツじゃないです。えーっと槍みたいなのがついてました。」
「槍?槍ってこれ?」
スマホで検索していた車をみてコレだと言うと視線をゆっくり陽菜に写して里香は「これマセラティじゃない?」と言ってだとすれば新車なら1500万以上はするというから陽菜は驚くしかない。
「彼はいったい何者なの?」
「それ私が聞きたいですよ。」
確かにエリート会社員を想像していた陽菜だったけれど車に1000万以上も使えるなんて何の仕事をしているのか全く想像できないで
いる。
「陽菜ちゃん今度ちゃんと聞きなさいよ。」
「何をです?」
「仕事よ!仕事。」
そんな陽菜と里香の会話を聞いていた武志は黙って聞いていない振りをして聞いていた。
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