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飯塚武志は、複雑だったがここでもう会うなというのも変な話だし自分が陽菜に今まで恋愛感情を持っているとは感じていなかった。
陽菜が里香と一緒に元カレの話をしているのを何となく聞いていたが、陽菜が彼と再会して元カレの付き合おうという話を一旦断ったというのを聞いて何故か安堵した自分がいた。
なのに、初めからやり直すとか友達以上の恋人未満からとか理解でき無い話を聞いてから落ち着かないでいる。
しかも、その男が乗っていた車がマセラティだなんてどんなエリートか経営者だよと思うがここでどう自分が動いても陽菜との関係を疑われるか周りが勝手に盛り上がりそうで嫌だった。
「俺は、陽菜が好きなのか?」心の中で自問自答する。
確かに頼りなくて放置できない可愛さがある陽菜が、就職に苦労していたのを見捨てる事が出来なくて親父に頼んでこの会社に入社させたが恋愛感情では無かったはずだった。だから別の女とも付き合ったりしたがいつも
「貴方は私を見ていない。」と言われて別れる事になる。
陽菜が、今までに彼氏がいなかったから自分の感情に気が付かなかっただけで武志は気がついてしまった。
自分が気がつかなかっただけで手元で見守りたいと思った感情は恋愛感情だったと今さっき気がついた。
元カレとやり直すとかどうとか言っていたがどんな男で本当にその男は大丈夫なのかと気になって仕方がない。
しかし今更陽菜に素直に「好きだ」とも言いにくい、何より陽菜は自分に対して恋愛感情は持っていないと言う事は嫌というほど知っていた。
「俺は今更どうすればいいんだか・・。」
陽菜と違って相談する人に心当たりが無い武志は、陽菜の行動を注視するしか手段が思いつかない。
遠くで二人の会話が漏れ聞こえてくる。
「それで、次は何時会うの?」
「うーん解らないけど毎日連絡は来るよ。」
「マメだね~。」
「マメってそれ暇なんじゃないのかよ。」と武志は、思ったが今の時点ではただ陽菜の行動と予定を探るしかなかった。
しかしこのままだとダメだと思って浅いかも知れないが里香に飲み会をしないかという提案する事くらいしか思いつかない。そう言う自分が情けないが今は、手段を選んでいる場合では無かった。
「陽菜、古田さん久しぶりに週末に飲みに行かないか?」
そう言うとすぐに里香は「行く!陽菜も行く?」と陽菜に聞いてくれた。
陽菜も「行きます。」と答えたのを聞いてとりあえず今週末は、元カレに誘われデートに行く事だけは阻止したと小さく武志はガッツポーズする。
急に陽菜に気持ちを伝えるのも変だが今は、週末に元カレに会うのを阻止する計画くらいしか思いつかない武志は今後どうするか悩むのだった。
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