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里香にすれば何故そんなに陽菜が彼とやり直すのを躊躇うのか理解出来なかった。
武志については理解できる。
武志は、確かに陽菜が好きなのは確かだろうけれど彼は一人を愛する男では無いのは見ていて解るからだ。
ある意味男らしく浮気をするだろう!
でも里香からみて陽菜の元カレはどうみても違う。
松井聖知は、どこか浮世離れした感じもしなくはないが陽菜だけを見ているのは確かだ。
里香は、聖知が自分には一瞥もせず陽菜だけを見ていた事に感心した。陽菜は、気がつかないかもしれないが彼を見ていた女性は一定数いたし彼が陽菜の元カレでなければ里香だって「お一人ですか?」と声をかけたくなるような男だった。
「彼モテるでしょうね。」
「ええ、だと思いますよ。」
「あんないい男なのに陽菜は付き合わないの?」
「私とは釣り合わないですし、それに彼は私に執着しているだけかもしれないじゃないですか!」
「嫌いなの?好きなの?」
「好きですよ。でも腹が立つんです!」
陽菜は、里香が出してきた缶ビールをグイっと飲んで言った。
里香は陽菜が拗らせていると思いながら話を聞く。
「陽菜は彼が好きは好きなんだね?」
「うん、好きですよ。でも怖いんです。」
陽菜は、突然別れを切り出された事がトラウマになっているようだと里香は思った。
また付き合い出して彼から別れを切り出されたら陽菜は耐えられないと言うのは彼女の本音で里香にも理解できる。
武志は、放置していても駄目なら駄目で違う女を探すだろうと里香は思っているから心配はしていない。彼はそういう男だ。
「里香さん、彼は昔私を試したんですよ?今回私が彼を試してからでも付き合うの遅くないと思いません?」
「それはそうだけどね~。」
そんな一筋縄で試せる男のようには見えなかったけどとは里香は陽菜に言わなかった。
陽菜の子供じみた意地なんだろうと思う里香だったが彼女の気持ちも解らなくは無かった。
しかし、想像よりはるかに聖知は陽菜の外堀を埋める行動をしていくと思わなかったのだ。
「えー!嘘。」
里香は、話ながら大好きなファントム・Kの公式サイトを見て叫ぶように言った。
「ドラマの記者会見に作家が同席って!ありえない!!」
興奮した里香はスマホを握り大騒ぎ。
「ファントム・Kですよね。女性なのか男性なのか正体が謎の。」
「そうよ!陽菜の恋バナどころじゃないわよ!」
「酷い~でも私も気になります!」
明日の10時に会見というのが陽菜にも大きく関係するとはこの時二人は夢にも思わなかった。
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