ファントム・Kの告白は過激

1/5
前へ
/29ページ
次へ

ファントム・Kの告白は過激

 翌日の朝10時に記者会見と言う事でテレビの前で正座する里香の隣で陽菜もそれに倣って座った。 結局里香の部屋で里香の部屋着を着て姉妹のように座る二人のテレビのなかでドラマの記者会見が始まる。 「もう~役者はいいのよ!役者は!」 「里香さん一応ドラマの発表だし・・仕方ないよ。」 「だけど・・あーじれったい!」 原作者の紹介ですと司会者が言うのと同時に舞台の端から彼が出てくるとフラッシュがたかれる。 彼はサングラスもかける事なくそのままのスーツ姿でスマートに席についた。 「嘘!」 「あれ・・陽菜の元カレ?」 興奮して陽菜を掴んでガクガクと揺らす里香。 陽菜はただ茫然と彼を見つめるのみ・・そして電源を落としていたスマホの電源を入れるとテレビに映る彼からのメッセージが。 「陽菜、僕の気持ちは変わらないよ。」とあったそれは今から数分前に送られたメッセージだった。 ネットではファントム・Kが初めて姿を現したと大騒ぎになっていて、そして里香もまた陽菜に「知ってたの?」と大騒ぎで。 「知らなかったです。」 「高級車も頷けるわ~ベストセラー作家だよ彼。」 記者会見で彼に対する質問攻めは当たり前で彼はすべてに丁寧に答える。 「ファントム・Kとしてここに来た切っ掛けは何だったのですか?」 という質問に対して彼は、 「私事ですがやっと最愛の人に再会できた事が切っ掛けです。」 「恋人ですか?」 「ええ、陽菜~見てる?」 キャーと声が上がる中彼は笑顔で手を振る。 公共の電波で何を言うのよと陽菜は思ったが隣にいた里香は、 「あんたこれで彼を振ったらファンに殺されるよ。」 と座った目で言われた。 熱狂的なファン・・その一人が隣にいる里香でこんな人が沢山いると解っているのに彼は堂々と電波を使い告白ではなく宣言した。 「恋人って言ってた?」 「ええ、言ってたわね。」 「いつの間に?」 「知らないわよ。彼にサインお願いしてね。」 「へっ?」 「お・ね・が・い・ね。」 「はい。」 その日から陽菜の生活は一変したのだ! それも全て彼の戦略だとは思わなかったが外堀を埋められ陽菜は、静かな生活から注目の的になってしまったのだった。 もちろん彼に電話して「どういうこと?」と聞いてみたが彼は焦ることもなく「そう言う事。」とだけ答えた。 熱烈なファンが多い彼だから彼の容姿や経歴も出されてマスコミも注目するなか恋人の陽菜は誰だと言う騒ぎになる。 陽菜を特定するのはマスコミにとっては簡単で陽菜のマンションの前にはすでにマスコミが集まっていた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

243人が本棚に入れています
本棚に追加