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「陽菜こっち。」
そう言って車の中から呼んだのは聖知でマンションには近寄れない陽菜は仕方なく彼の車に乗る事にした。
「あの記者会見・・。」
「そうだね。」
「どう言う事?」
「武志とは話は済んでるよ。強引なのは解ってるでももう後悔したくはない。」
いつになく真剣な目で彼に言われたら陽菜は何も言えないでいた。
「マー君が有名作家なのは解ったけど何故こんなにマスコミが?」
「うちの事務所だよ。今回の記者会見はうちの事務所が仕組んだことを利用しただけなんだ。仮面作家でいいのにドラマ化はいいけど視聴率の為にスキャンダルを利用したい女優とファントム・Kの売り上げを上げたい事務所が結託したんだ。それを潰したんだけど陽菜のマンションの住所をマスコミに流したのは女優の事務所だよ。」
陽菜にはもうドロドロしすぎて意味が解らないでいた。
「ドラマ化は陽菜に再会する自分で決めた条件だったんだ。だから脚本が書きあがったのと同時に陽菜に会いにいったんだ。」
彼は、同窓会の日まで脚本を仕上げていて書きあげすぐに同窓会の会場に仕事着のまま向かったからあの恰好だったと説明してくれた。
恋愛小説は許可しなかったのは、陽菜への想いを気に入らない女優が演じるのが嫌で推理小説の許可しか出さなかったと彼は話す。
話ながら到着したのは一戸建ての前だった。
「ここ?」
「ここは、俺の家というか見覚えない?」
広い芝生の庭に高台に可愛い家・・将来こんな家に住んでみたいと陽菜が高校生の時に話した事のある家そのものだ。
「陽菜が雑誌に載っていた家をみてこんな家がいいって言っただろう?」
「確かに言った。」
「とりあえず中で話そう。」
彼がそう言うからとりあえず家の中に入ると明るい壁紙にカントリー調の家具は陽菜の好みだった。
「陽菜、コーヒーよりココア?」
「うん。」
全部覚えていてくれている。
付き合っていた頃の話を全部覚えて一人で実現してくれていた?
「マー君。なんで?」
「何が?俺は陽菜・・ずっと忘れた事ないよ。」
「だったら何故もっと早く会いに来てくれなかったの?あれは試しただけだと言ってくれなかったの?」
「陽菜・・ごめんな。俺は自分に自信が無かったんだ。」
「マー君が?」
「前も言ったよね。俺は陽菜が好きすぎて毎日が不安だったんだよ。陽菜は僕の何が好きだった?多分ねあの頃の陽菜はなんとなくで俺と付き合っていた感じだった・・別れを切り出した時に別れたくないと言って欲しかった。今思えば馬鹿なのは俺だよ陽菜は、知らないだろうけど陽菜をずっと見ていた。
陽菜に会いたくてドラマ化したら陽菜に会いに行こうと決めていたんだけど時間がかかった。それに忙しくて中々身動きも取れなかった。」
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