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飯塚商事に出入りしている営業の男性に誘われて食事に行ってまた今度デートにと言っていたのに・・数日後。
「ごめん陽菜ちゃん俺彼女が出来たんだ。」
と言われて「そう。お幸せに。」としか言えず・・そのループが嫌になりそうだった。
かれこれここ4年は同じ事の繰り返しで社内恋愛も~と思ったが飯塚商事には独身者が少ない、いても彼女がいる人ばかり。
唯一フリーなのは、この会社を受けてみろと言ってくれた社長の息子飯塚 武志だけだ。
彼は、サークルの先輩でドジな陽菜をいじりながらも気にかけてくれていたらしく社長の父親に「俺の不出来な後輩一人雇いたい。」と言ってくれていたようだった。
この会社の面接で特技として煎茶を入れたらその味を気に入ったと社長に言われて採用。
変だなと思っていたら入社して解った先輩の存在だった!
「陽菜。会議室にお茶お願いできるか?」
噂をすれば影ではないが飯塚 武志が声をかけてきて「ハーイ。」と返事をする。
この会社では「陽菜ちゃん」と呼ばれているが先輩だけは「陽菜」と呼ぶ大学時代からだったから違和感はない。
「同窓会だって?髪まで切って気合入っているな。」
「身だしなみって事ですよ。」
「若く見えるしいいよ可愛い・・馬鹿っぽいからいいよ。」
一言多い先輩の誉め言葉はいつもの事だ。
先輩は、いわゆる御曹司だからモテるはずなのにフリーなのはこの無駄な一言のせいで女性に振られるのだと陽菜は思う。
余計な事を言わなければ優良物件なのに・・と残念に思いながら陽菜はお茶を持って行って席に戻ると。
「上手くいかないもんよね・・武志君と陽菜ちゃんお似合いだと思うんだけどな。」
このセリフは、ここに入社してから何度となく聞くが陽菜にも武志にもその気はないのだから仕方がない。
兄と妹のような関係で良い相談相手の兄と手のかかる妹という関係だと陽菜は思っている。
平和な飯塚商事は、近年業績がいいのは営業をしている武志の営業能力が高いからだと陽菜は思っているし社会人の先輩として尊敬はするけど恋愛対象として見た事は一度もない理由は解らないが無いのだ。
ルックスは、悪くはなく少し余計な事を言う俺様気質だけど基本女性には基本紳士的で頭の回転が速い人だと思うし時期社長だと言う事も考えるとモテないわけが無いのに・・彼女が出来ても長くて数か月で別れる本当に長く続いた事が無いのが不思議だ。
過去に忘れられない女性でもいるのかもしれ
ないと陽菜は思っている。
しかし、陽菜は毎日平穏にここ飯塚商事で楽しく働いてそれには何の不満も無い日々だと
言うことは確かだった。
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