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同窓会の後で・・
同窓会の会場はホテルの宴会場で100名参加の大がかりなものだった。
会場がホテルだと言う事もあって少しお洒落なワンピースに履きなれないけどヒールを履いて入り口の受付で待ち合わせしている友人を待つ。
ここに偶然彼が来る的な演出も素敵かもと考えてしまうのは、里香さんの影響かもしれない。
陽菜はアニメや漫画は好きだが小説、活字は苦手だったからコミカライズされたものしか知らないが里香の進める小説は確かに面白かった。
同窓会の受付で偶然再会した二人がお互い相手がいるのに愛が芽生えてたしか「再熱」だったか・・確かに面白い作品だったしドラマにもなるくらい人気だったまさしくこのシチュエーション。
なのに・・現実は、少しふくよかになった友人の瞳がシフォンドレスを着て「待った~。」と言って手を振りながらやって来た。
「待ってはないけど・・太った?」
数年前に結婚した瞳は、一児の母で結婚する前はお洒落にうるさく二言目には「ダイエット」だったのに・・
「結婚して子供産んだらどうでもよくて。」
そういう彼女が幸せならいいわけで口を出す事ではないかと陽菜は思う。
「陽菜は、可愛いね~そのまんまね。彼氏はできないまま?」
「うるさい!出来ないのよ何故?」
「高スペックの男ばかり狙ってるから?」
「違うよ。自分の身の丈に合う普通の人がいいの!なのに・・ダメなのよね。」
瞳は、元彼を知っているから先入観なのかいつも理想が高いからダメなんだと言うけど私は至って普通の人を探しているのに。
「仕方ないな。うちの旦那の部下を紹介してもらう?」
「いいの?」
「流石にここ数年見ていて可哀想だし。」
瞳の旦那さんは、公務員だから部下と言えば公務員だから期待できそうだと陽菜は思った。
会場は立食パーティーで懐かしい顔がチラホラ。
最近左手を確認してしまうのはそろそろ既婚者が多くなってきたからでバリキャリ女子以外は結婚していてもおかしくない。
「陽菜は、可愛いのに愛嬌もあるのに彼氏が出来ない・・何故?」
「瞳さんそれは私が聞きたい。」
そんな会話をしていたら高校時代を思い出す。
その時の会話は・・・
「陽菜は可愛いけど、彼氏が彼ってどういう事?」
「瞳さんそれは、私が聞きたいなんで私なんだろう?」
同じような会話だけど、今は彼氏がいない事に疑問を抱く瞳で昔は何故あんな凄い人が陽菜の彼氏なの?という意味で・・。
「なんか・・高校の時に男運を使い果たしたのかも。」
そう呟くと授乳期が終わった瞳はワインが入ったグラスを二つ持って一つを陽菜に渡してくる。
「暗くならない!。でさ、卒業から今まで松井君とは会ってないの?」
グラスに口をつけながら「うん」と頷くと連絡もしてないの?と聞かれたからまた頷く。
「だって、彼から別れようと言われたのに私から電話したら惨めじゃない?」
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