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瞳は、陽菜がまだ元彼に未練があって新しい恋愛が出来ないと思い込んでいた時期がある。
未練は無いのに・・そう思われるのは元彼の松井 聖和がハイスペックだからだろう。
自分の身の丈に合わなかったと思っているのに未練も何もない陽菜は、そこまで厚かましい人間ではないと力説して瞳は理解してくれたと思う。
「彼いまどうしているんだろうとは思うけど。彼も結婚しているかもしれないし。」
「でも彼がフリーだったら?」
「彼と私とでは釣り合わないのは私が一番理解してる。高校時代は、それもまた楽しかったけど、社会人になってエリートと普通の違いくらいは解ってるよ。」
彼と自分との格差は解っているし今頃バリバリと仕事してエリートの彼と自分が釣り合うわけが無い。
恋に恋をしていた高校時代にたまたま彼と付き合っていたけど恋が愛に変わる前に別れたから陽菜はまだ愛を知らない。
「まあ、うちなんかもまさか結婚するとは思わなかったけど出会って数か月で結婚だったしね。」
「瞳の場合は運命だった?デキ婚で今幸せなんだからいいのよ。」
「でもね・・色々あるのよ。だから痩せれない?」
「なにそれ~。」
この時は、瞳の抱えている問題には恋愛すらまともにしていない私は気が付かなかったけど瞳は大きな悩みを抱えていた。
「いつか話すよ。結婚ってさ好きだとか愛だけじゃないのよ。」
気になる言葉を言いながら瞳は明るく「飲もう」と言った。
流石に結婚は、良い事ばかりでは無いのは飯塚商事のお局様や部長や課長にここ四年間飲み会の度に貴重な体験の話を聞いていたから
陽菜も少しは、知っているが自分が経験した訳では無い。
瞳は、何かあるんだろうな~と思いながらも今は、忘れさせてあげるほうがいいと陽菜は思った。
「瞳。今日は飲もう!」
「うん。そうね・・二次会も行こうかな?」
「家大丈夫なの?」
「大丈夫よ!」
陽菜は、瞳が一気にグラスを空にするのを見て少し心配にはなった。
ヤッパリ何かあるんだろうなと思いながらも二次会に行くという瞳の意志を尊重する事にした。
「彼いなかったね。」
瞳が周囲を見渡しながら言ったがその彼と言うのが松井聖知だと言う事は陽菜にもわかる。
「忙しいんじゃない?たぶんエリートだし。」
そんな会話をしながら二次会の会場にタクシーで移動しょうとした時に、子供を抱いたサラリーマンが急いで歩いて来るのが見えた。
「あなた!」
瞳がそう言うと子供を抱いた彼は、瞳の名前を呼びながら悲壮感漂う様子を醸し出してやってきた。
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