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8年ぶりに合った聖知は、想像していた感じでは無かったけれど昔と変わらず優しいのは子供の扱い方で解る。
「ごめんね。陽菜。」
「いいよ。話し合う必要があるんじゃないの?」
瞳は、本当に申し訳ないと謝っているが旦那の方はそんな事もなく疲れたと言ってラウンジの席にすでに座っているそんな旦那を見て
「迷惑をかけてるのに・・。」と心底嫌そうに瞳が言うのを宥めながら二人の間に入る事にした。
「一悟が大変だったんだよ・・ご飯は食べさせたけどさ泣くし。」
「そりゃ、泣く事もあるよ。それに・・その時あなたは何をしていたのどうせ携帯のゲームじゃないの?」
「俺にだって自由はあっていいだろう?」
一悟と聖知は二人で話をしながら遊んでいるが一悟は大人しくしているからそんなに無茶を言う子ではないと陽菜も思った。
「たった一日も子供の面倒も見れないの?」
と陽菜は彼に言った。
「君には解らないよ子供まだいないんだろう?」
「ええ!解らないわ。でも自分の子供の世話を一日も出来ないような出来損ないはもっと解らない。」
陽菜は、そう言うと彼を睨みつけた!
「陽菜・・。」
「瞳も悪いよ!我慢だけしてちゃんと話し合う時間を持たなかったんでしょ?彼は、子供の父親であんたの旦那でしょ?ストレスをためて話し合わずに行動にでたら彼もどうしていいか解らないでしょ?」
瞳にも陽菜は、きつい言い方をしたうえで旦那に向き直って言う。
「子育てって数時間でも疲れたでしょう?それを毎日365日休みが無いのが母親なのよ。旦那さんが少し思いやってあげたら瞳は、家を空ける子じゃない。瞳は、貴方に自分の辛さや大変さを知って欲しいのよ。」
瞳は、昔から黙って我慢をする癖があった。
瞳の高校時代を思い出せば彼氏の浮気を知っていて知らない振りをして胃を壊したり、彼氏の我儘に付き合って金欠だったり、基本相手に合わせすぎて自分を犠牲にする傾向があったから今回も旦那だけが悪いのでは無く瞳にも問題があると陽菜は思っていた。
「瞳は、小出しに彼に言わないからこうなるんでょ?」
「そうだけど・・言えなくて。」
「俺も悪いんだよ。」
ここにきてやっと旦那さんも落ち着いたのか歩み寄るような話し方になってきた。
仲直り出来そうなこのタイミングで一悟を連れた聖知は、一枚のカードを瞳の旦那に渡した。
「今日はさ、家族で泊まれるようにしてあるし支払いもしてあるから泊って行きなよ。なっ、一悟も仲良くしてほしいよな。」
そんな事を一悟に語り掛けながらここのホテルの部屋で一泊して仲直りしろと彼は言った。
「こんなことまでして頂いたら申し訳ない。」
「いや、とにかく仲直りしなよ。」
ここのホテルの普通の部屋でも家族で宿泊となると三万くらいはするはずなのに支払いを済ませてルームキーを渡すなんてどうなんだ?
とも思いながら陽菜は成り行きを見守る事にした。
結局、瞳夫婦と一悟はホテルに一泊して明日帰る事になって陽菜と聖知は二人で話す事にした。
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