突然の連絡

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突然の連絡

月曜から金曜日まで普段通りの毎日で得に変わった事もなく飯塚商事での日常は過ぎていく。 「それで、元カレからはあれから連絡はないの?」 「ないですよ。」 なんだ面白くないといいながら里香さんは小説のような展開を心待ちにしている。 しかも毎日「どう?」と彼から何かアクションが無かったのかと聞いてくる。 「上手くいかないのね。」 「上手くも何もそんなんじゃないですよ。過去ですから。」 瞳は、夫婦でお互いに反省して旦那さんも少しは子育てに参加してくれるようになったらしく雨降って地固まるってのかなと笑って話せていたからもう心配はなさそうだった。 里香さんは、大好きな作品のドラマ化が決まったと今日は朝からご機嫌だったし金曜日で残業もなく無事に一日を終えた陽菜はどこにもよらずに帰宅する事にした。 「連絡する。」と彼は言ったけど期待していたわけでもないが何となく寂しく感じるのはいまだに一人だからかもしれない。 何となくちゃんとしたご飯を食べる気になれずに簡単で手軽なコンビニによって温めるだけの総菜を買う。炭水化物はやめてあまり普段は飲まないけど甘いアルコール度数の低い酎ハイを買うビールを買わないのは「親父」 みたいな感じがするからで、でもやってる事には色気も何もないと自分でも最近思う。 「女子力無い」と飯塚武志に言われそうだと一瞬考えたがここで彼が思い浮かぶのが悲しくなる。 最近話した独身フリーの男は彼だけだなんて最悪だと陽菜は焦りすら感じるのだ。 面倒見のいい先輩の彼は、恋愛対象にお互いなりえないと思うからこそそんな彼が思い浮かぶのが腹立たしい。 しかし、ここで元カレが出てこないのは8年間で彼の現在のイメージが違いすぎたからかもしれない。 一人で家飲みしながら酔う事もなくテレビでは最近あまり見なくなったドラマが流れているが内容は入ってこない。 「彼氏ほしいな~。」 こんな事を里香さんあたりに聞かれたら「恋がしたい」ではないから彼氏が出来ないんだとか言われそうだと思う。 「彼氏がいてから恋なのか、恋して彼氏なのか?わからなーい。」 就職した時にかりたワンルームはそれほど広くもなく8畳で唯一のこだわりはお風呂とトイレが別という物件。 だから、小さなテーブルの上に食べたものはそのままテレビもつけたままでベッドの上にボフッっと寝転んだ時にスマホの音がしてあまり聞かない音だから着信だと解ったが、誰が電話してきたのだろうと思って画面を確認 して「えっ?」と驚いたが画面をタップした。 「もしもし?」 「陽菜、起きてた?」 元カレからの電話が急で何を話していいかまったく解らない。 「起きてたよ。」 「明日時間あるかな?」 得に何も予定は無いしこの間は瞳がお世話になってるしと自分に言い訳しながら明日の朝9時に駅前で待ち合わせという約束をしてしまった。
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