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 一真はスマホを慌てて隠すと、時すでに遅く春斗がこちらに近づいてくる。一真の前で屈むと、後ろに隠したスマホが奪われた。画面には電話のダイヤルが表示されている。せっかくロックが解除されたのに、寸前で見つかってしまった。 「通報でもするの?」 「え、あ、その……」  一真はごくりと息を呑むと、ふーっと細い息を吐きだした。 「お前がやったのか……?」 「」  即答だった。悪びれた様子も無く、春斗が頷くとまた血の気が引いた感覚がした。 「だって僕たち約束したよね? だよって。なのに、約束を破るのが悪いんだ」 「そんなの……子供の頃の約束だろ?」 「でも約束だ。約束って守らないといけないでしょ? なのに破った。子供とか大人とか関係無いよ。破った奴が悪いんだ」  春斗は遠くに一真のスマホを投げ捨てると、一真は思わず「あ……」と声を漏らす。 「通報したら、僕は一真を殺すよ。躊躇なく殺す。一真は絶対に助からないよ。警察に通報してからここに来るまでのレスポンスタイムがあるんだ。呼んですぐには来れないってこと」
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