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 しばらく他愛もない会話をして時間を埋め尽くすと、途中春斗が「トイレ」と言って立ち上がった。一真は2杯目となる缶ビールを飲みながら、テレビでやってる芸人のバラエティーを見る。上海に行けば、この芸人たちのネタも簡単には見れないんだろうなと想像してしまうと、しんみりとした気分になった。出向を命じられた時は「上海だ、やったー」としか思っていなかったのに、こうやって春斗と最後に会ったからだろうか。やけに心が重たい。  リビングのドアが開くと、トイレから戻った春斗が隣に座る。それからテレビを見て「あ、僕の好きなネタ」と言った。楽しそうに笑ってる。 「上海に言っても絶対に連絡するからな」  唐突に言うと、春斗は一真を見て「どうしたの急に」と言う。微かに口元は笑っていて、可笑しかったんだろうなと察した。一真は両手で空を切りながら、自分の顔を隠すように立ち上がる。
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