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 「トイレ」と言って、逃げるようにリビングを後にした。春斗が目の前からいなくなった瞬間、どっと顔が赤くなるのが分かる。何恥ずかしい台詞言ってるんだ、俺。そう自分に自分で突っ込みながら、トイレのドアを開けた。用を足してからも、しばらくトイレの中に籠って心を整える。廊下に出ると、あまりの寒さに身震いした。さっきは恥ずかしさのせいで体温が狂っていたが、落ち着いた今ここに立ってみると寒い。 「何でリビングじゃなくて廊下冷やしてるんだろ」  一真は今更疑問に思いながら、冷気が強まる方へと行くと一つのドアの前で立ち止まった。春斗の寝室であろう部屋からは微かにゴオゴオとエアコンが稼働している音が聞こえる。ドアの下にある隙間からも凍えるぐらいの冷気を感じた。  一真はドアノブに手を掛けると、そこで動きを止める。いくら幼馴染だからといって寝室に勝手に入るのはいけないよな。そう心に言い聞かせながら、ドアノブから手を離した。けれどやっぱり寒いぐらいの冷気が気になってドアノブに手を掛けると、「バレなきゃ無罪」と呟きながらそっとドアを開ける。
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