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2.みかじきも?
3時間目。
私達は理科の特別授業を受けていた。内容は微生物。
「はい。見えましたか? 次は里虹池の水を見てみましょう。班の中から1人水を取りに来て下さい」
彼の名前は日比谷誠。この学校の授業のために来てくれた研究員さん。間宮研究所というところから来たらしいよ。
「じゃあ、僕が行ってくるね」
うちの班からは沖原君が行った。
沖原耀太君は、理科、特に生物のスペシャリスト。理科の先生からこの学校で1番の理科の成績と言われていた。優しい男の子だよ。
「持って来たよ」
「ありがと〜」「サンキュー」「ありがと」
沖原君が戻ってくると、みんな口々にお礼を言い、それぞれに観察を始めた。
「ねえ、これは何?」
上手くプレパラートが作れず苦戦していると、顕微鏡を覗いていたアリアが話しかけてきた。
「え、どれどれ?」
私も顕微鏡を覗いてみる。
するとそこには、見たこと無い細長くて、緑色の生物がいた。
「んー、何だろ」
あいにく、沖原君はご不在。
私達は、授業の最初に配られたプリントを見て、どの生物か調べることにした。
「あっ、これだぁ!」
しばらくして、アリアはプリントから顔を上げた。
私もアリアのプリントを覗き込む。確かにあの生物とそっくりだ。
「みかじきも?」
アリアがプリントを声に出して読んだ。
けれど。
「違うよ。ミカヅキモだよ」
私は訂正した。
「ええっと、ミカヅキモとは…」
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