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3.生物の好きな日比谷さん
ミカヅキモ
三日月みたいな形だからミカヅキモという。池や沼などに住んでおり、体長は0.2~0.4mm。
説明には、こう書いてあった。
私が声に出して読むと、聞いていたアリアは、すぐに顕微鏡を覗いて言った。
「あっ、確かに言われてみたら三日月に似ているよ」
私もアリアに代わってもらって確認してみる。
「あっ、本当だ!」
言われてみたら結構似ている。
「すごいね~」
「うんうん!」
私とアリアは顔を輝かせる。
すると、そこへ。
「やあ、二人とも。何か見つかったかい?」
日比谷さんがやってきた。
どうやら、私達が嬉々としているのに目ざとく気づいたみたい。
「ミカヅキモが見つかったよ」
アリアが答える。
すると日比谷さんも顕微鏡を覗いて微笑んだ。
「おっ、ホントだ。これはミカヅキモだね」
「でしょでしょ!」
アリアは得意げ。私も嬉しくなって思わず笑みがこぼれる。
「ミカヅキモとはね……」
日比谷さんは私達の様子を見て、嬉しそうにミカヅキモの解説を始めた。少し難しい内容の言葉が長々と続く。
私達はその話を呆気に取られて聞くしかない。
数分後、とうとうアリアが口を開いた。
「そういえば、日比谷さんって学校にはいつまでいるの?」
すると日比谷さんは、ハッと我に返ったように言葉を止めた。
「ご、ごめんね。話、長かったよね。え、えーっとね、し、しあさってまでだよ。ちなみに来たのは昨日」
少し慌てながら答える。
「じゃあ、ちょうど今週1週間いるんだね」
アリアの言葉を聞くと、日比谷さんは、
「うん。そうだよ。あっ、そろそろ行かなきゃ」
と言って、気まずくなったのかサッと他の班のところに行った。
「さあ、観察再開しますか!」
アリアは日比谷さんを見送ると、私を見て宣言した。
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