宮廷

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 そうするうちに曽祖父は洗濯以外のさまざまな雑用も受け持つようになりました。曽祖父の熱心で創意工夫のある仕事ぶりは評判となり、次第に宮廷の信頼も厚くなっていったと言います。  改善の必要な箇所を目敏く見つけ、適切に迅速に物資を調達し、相応しい人員を手配し、手早く仕事を覚えさせる。曽祖父は、宮廷の裏側に新たな力を生み出す水車のようでした。  曽祖父は、私の祖父やその弟たちを幼い頃から仕事場に同行させたそうです。そして自分の仕事の全てを覚えさせ、その立場を私の祖父に受け継ぎました。それが私の父に至る頃には、宮廷の裏側の雑事を全て執り仕切る使用人の総責任者となっておりました。  それゆえ父は、フッラム様と歳の近い長男の私がお世話役としてちょうどよいと考えたのでしょう。
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