名前はずっと無い

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名前はずっと無い

あるところに青年がいた。 名前はずっと無い。 これまでも多分これからも 年齢は19歳  親はもういない。 一人で歩く。 病院と家の間を何往復も何往復も そして毎日同じ時間になると病院に入り診察を受ける。 そんな彼の人生の何も無い0が、 とある女性によって 1に 100に 1000に 沢山の事に溢れる人生になるまでの物語 私の名前は、瑞峡良治(みずかいりょうじ) 職業は医者、サポート診療専門医 男  56歳  妻と子供2人の4人暮らし 国立の継続的病気を治療する専門の病院に務めている。 ここには沢山の永劫静眠症候群の患者が通ってくる。 最も多いのはⅡ型だ。 彼らは、その慣習道理に動くのみで、道中の危険対象である車などを認識 できないためこの院外の敷地内に彼らの家はある。 彼は、私達の中では患者コード6739と呼ばれている。 年齢は19歳の至って普通のⅡ型患者だ。 彼女は、坂口叶実(さかぐちかなみ)19歳 彼女は、永劫静眠症候群の患者では無く 動脈及び静脈の 定時制継続的血管破裂症 の患者である。 これも難病で、西暦3019年に確認された病気である。 ある時間になると一日決まった数の血管が破裂する病気 継続的に何年も続くものもある。 治す方法は今のところ見つかっていない。 大体のは毛細血管の為あまり問題は無いが、いつ大動脈や大静脈が破裂するか 分からないという点では非常に危険な病気といえる。 手術で全身の血管を人工血管にするという手が考案されているらしい。 大いに日本医師会が反対しているらしいが、その理由が 人工血管を体が異物と判断してしまう可能性が高いとの事だった。 「患者コード6739の方、診察室番号17番へお越しください。」 機械的な声が流れる。 「こんにちわ」優しく声をかけても勿論返答が返ってくる事はない。 只椅子に座るだけだ。 それが慣習それが本能だ。 彼は、寝台に寝転がる。いつものことだ。 私は、彼の体に何ら以上が無いことを確認して、起き上がらせる。 そしていつものように薬を処方し、いつものように帰らせる。 そんな毎日だった。 「坂口叶実様 診察室番号17番へお越しください。」 「こんにちは」  「こんにちは」 こちらは永劫静眠症候群の患者では無いため返事がある。 私は、血管の調整やら雑談やらをして薬を処方して、帰ってもらう。 そう何一つ私は変わらない。 いつもの景色  見慣れた景色だ。 「早く良くなるといいなぁ」私は上機嫌で歩く。 最近血管の破裂数が少なくなってきており体調が安定している。 「ドンッ」誰かと正面からぶつかる。 「はぅっごめんなさい」急いで謝る。 しかしその人は何事も無かったかのように通り過ぎていく。 びっくりした。永劫静眠症候群の人だったか。 でもなんか心のモヤモヤが晴れなくてもう一度誤りに行った。
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