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ピーターの恋
「デビッド、ああ僕のデビッド……君をいつも持ち歩いて、ずっと触れていたいなこうやって……」
満ち足りた日曜の午後ピーターは恋人の体じゅうを熱いキスで覆いつくす。柔らかくなめらかだが内側から跳ね返すような活き活きとした弾力をも感じさせるその肌を、堪能しながらピーターはうっとりとつぶやいた。
これはピーターにとって初めて本当に人を好きになったと言える経験であり、同じ学校の少年と初体験まで済ませてはいたものの今思えばそれは、あくまでもPuppy love というたぐいの幼く淡いものに過ぎなかった。
しかしデビッドに抱かれている時のピーターはまるで、自分をおおう殻が何か温かいもので溶かされていくような、魂を丸裸にされるような感覚におそわれる。そこには過去も未来もなく永遠につづく空間が広がり、二人の魂が合わさり溶け合い昇華していく。それはまるで宇宙からの祝福のようで、そこではすべてがきらきらと美しい輝きを放っているのだった。
「かわいいラビット(小柄なピーターをピーター・ラビットになぞらえデビッドはこう呼んだ)、僕だってお前にずっとこうして、優しく撫でられていたいさ……」
刹那、ピーターの脳裏に、ある恐ろしい考えが浮かんだ。あわてて打ち消そうとしたが妄想は膨らみはっきりとした映像となって流れだしもう止められない。静かに動きを止めたデビッドの、引き締まって弾力のある裸体を鋭くとがった銀のナイフで切り裂き、その愛おしいパーツを小瓶に分け入れる。温かく生臭い血のしぶきをぞんぶんに浴びながらドクドクと流れ出す鮮血をぴちゃぴちゃと舐め回し、愛する男の美しい肢体をゆっくりと、少しずつ切り刻む自分の姿を想像して身悶える。ああそれは、どんなに素敵なことだろう……!
「う……ん………デビッド、デビッド、僕はまた……ねえ、かわいがっておくれよ……!」
デビッドは妖艶な笑みを浮かべるとピーターの、じゅうぶんに感じやすくなった部分に唇を押し当て、その繊細な指と舌を器用に動かした。
「あ……あ……うぅぅッ、デビッド……!」
強くしびれるような絶頂に登りつめたその瞬間、固く目を閉じたピーターには降りかかる血のしぶきが、確かに見えていたのだった。
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