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大きな岩場の辺りで、木で出来た釣竿を発見した。
「釣りーーしてみようよ!」
そう切り出したのは私だ。
私の父は釣りが好きで、良く連れていかれていた。
その度に、釣りをする時は魚がビックリしないように、静かにしてないといけないんだ!って話してくれた。
「いいね、いいね!」
千恵子は賛同した。
お互いに初めての体験である。しかし、エサなんて持っている訳がない。
「ーー何か、釣れたらいいね!」
なんて言いながら笑っている。
ところが待てど暮らせど、何もかからない。
やはりエサがないからダメなのだろう。
それに気づきもしないで、何かが釣れると信じていた。
二人はまだ子供だったんだろう。
釣竿の針を遠くまで投げれば、きっと何かが釣れるーーそう信じて、見よう見まねで釣り針を投げてみたその時。
「ーーうっ」
私は小さな悲鳴をあげた。
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