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引っ越しをする前の日。金曜日。
午前中で学校が終わると、二人で遊ぶ事になっていた。
一旦家に帰り、荷物を放り出したらすぐさま、家を飛び出す。
「ーー行ってきまーす」
大きな声でそう言って、玄関のドアを開けるとほぼ同じタイミングで、千恵子も出てきていた。
「ーーじゃ遊ぼう!日が暮れるまで楽しもーね!」
私はそう言って元気一杯だ。
千恵子は「ーーもう、大丈夫なの?」と聞いた。
「ーー大丈夫?って何が?」
不思議に思い、私も問いかける。
千恵子は耳を指差していた。あの日の怪我の事だろう、と私は思った。
「うん。もー大丈夫!!対した事なかったから」
そんな話をしながら、二人が向かっていた先はまたしても、近くの海だった。
家を出て、すぐの道を右に曲がると目の前は海岸だ。歩いても1.2分の距離だから、帰りが遅くなっても親に怒られる心配はほぼない。家で窓を開ければ二人が遊んでいるのが見えるのだから。
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