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二人は時間の過ぎるのも忘れ、砂遊びをしている。
「ーー約束するよ!私は絶対に千恵子を忘れない。引っ越しても、電話とかメールしてね」
夕焼けに染まる海岸で、オレンジの日差しを浴びながら、千恵子は笑った。
「大丈夫だよ!絶対に忘れないよ!私たち、親友でしょ??」
千恵子は確認するようにそう言った。
二人は指切りを交わす。
ーー絶対に忘れない。二人がいつまでも繋がってるって、希望を胸に抱えながら...。
「それじゃ、帰ろっか」
残念そうに頷いて、そう切り出したのは私だった。千恵子もそれに同意する。
家までの数分間、二人は手を握りあって、いつもより疲れている様な錯覚に陥りながら、ようやくの思いで家に帰った。
ーー約束だよ!絶対に忘れないで!
千恵子の横顔を見ながら私は思った。
何度も何度も、繰り返し念じるようにして、千恵子の横顔を見つめる。
それに気づいてか、千恵子はこちらを見て微笑む。
玄関先に着くと「バイバイ」とお互いに手を振り合い、お互いの家に帰る。
玄関のドアを開ける。
そこに母が立っていた。
「ーー楽しかった?」
母のその言葉に我慢していたものが込み上げたのか。急に寂しくなって、私はボロボロと涙を流し、声を立てずに泣いた。
ーーついに千恵子とのお別れの日がやってくる。
眠らなければ、このまま起きていれば、明日なんか来ないんじゃないか?
幼い私はそう思って起きていたが起きていても朝は変わらずに来てしまった。
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