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あれは、そう。
まだ小学生の時だったか。
当時、仲の良かった鈴森千恵子(当時10歳)と二人で、夏の暑い時期。
海で遊んでいた。
鈴森千恵子は、小柄で髪の毛が天然パーマみたいになっている。目が細く鼻筋にホクロがある。
ーー彼女はシッカリしているんだろう。
私は勝手に彼女の事をそう思っていた。彼女と遊んでいると、時間がとてつもなく早くて、あっとゆう間に夜が来てしまう気がしていた。
二人が大きな海の水辺で遊んでいると少し離れているところに亀が流れ着いていた。
大きな甲羅、それが乾燥していて、茶色と呼ぶには相応しくない様なくすんだ色をしていた。
亀が生きているのか。死んでいるのか。
それは確認すら出来なかったけれど、幼い子供二人の力で、ようやく重たい亀の体を、水の中に戻してあげた。
「またね」
子供ながらの純粋な善意だった。
今思えば、あの時の亀からしたら余計なお世話だったのかも知れない。
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