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「なんだ、帰って来たの?」
相変わらず天井を睨んだままの格好で、やけに棘のあるナオの声が飛んで来た。
目も合わせようとはしない恋人が、それでも全身で俺の動向を探っているような気配を感じる。
「……ここ、俺の家なんだけど」
帰って来たのって、そんなの当たり前だろ。他にどこ行けって言うんだよ。
それにしても、何を人の家で我が物顔で寛いでんだ、お前は。いや、いつものことだからもういいんだけどさ。
ナオは俺に合鍵を渡されて自由にしていいって言われてる立場なんだし、実際留守中にも好き勝手に出入りしてる。
それでも、たとえコイツにとってどんなに腹に据えかねることがあったとしても、チェーンを掛けて俺を締め出すような真似は絶対にしない。
それくらいなら、ナオはここには来ないで俺をガン無視する方を選ぶさ。……そんなことできるかどうかは別として。
ナオはそういう点は信用できるんだ。
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