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「やっぱり拓馬も若い子のほうがいいんだね。そりゃそうか、お肌もピカピカで綺麗だもんね。もう三十過ぎた俺と違ってね」
突拍子もないナオの台詞に、俺はまだ手に持ったままだった荷物を取り落とした。どさっという音にも、彼は知らん顔だ。
「……いや、何言ってんのお前」
斜め上の拗ね方をされて、俺は軽く混乱する。あたりに散らばった荷物なんか、すでに意識の中に入ってなかった。
……ナオの怒りってか嫉妬の先がピンポイントでわかんねぇのは、心当たりがあり過ぎるからなんだけど。
いや、浮気はしてない! 浮気までは行ってないんだ、俺の基準では! 身体の関係が無きゃセーフだよな? な?
けどさすがに、恋人に対して後ろめたい感情はあるんだよ。──矛盾してるかもしんないけど。
そういうわけで、自爆する気なんかないからあくまでも知らん振りを貫くのは言うまでもない。
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