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「でもな。ナオは若い子がどうこうとか言ってるけど、お前全然負けてないから。──昔も今も、ナオは誰よりも綺麗だよ」
俺は、普段はなかなか表に出せないストレートな言葉を思い切って口にした。
だから他の奴のことなんて何も気にする必要なんかないんだ、って言外に伝わるようにめいっぱい気持ちを込めて。
そう、頼むから気にしないでくれ。職場の後輩とでも仕事の話でも、お前の怒りは完全に妄想だって笑い飛ばせない、かもしれない……。
──矛先を反らすためとはいえ、柄にもないことを言ってしまった自覚くらいある。俺はナオの顔を見る勇気もなくて、あたふたと落としたままの荷物を拾い集めた。
それらを片付けるために、焦ってベッドルームへ向かう。
その後ろから、向こうも慌ててソファから立ち上がったらしい恋人が追い掛けて来る足音が聞こえた。
~END~
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