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第三話 01
『今日未明、××市のマンションで、2人の白骨化した遺体が発見されました』
アナウンサーは、淡々とそう述べた。
「また白骨死体だよ、佳苗ちゃん」
夢奈は怖がるどころか、喜々として言うのだった。
「この前の株式会社の大量死事件の次は、今度はこんなマンションで…」
私は嘆くように言った。
連日報道されている、××市における白骨死体事件は後を絶たない。
始まりは、公民館における大量死事件だった。町内会で集まっていた人達が、全員屍の姿になって倒れていたという。
同様の事件が河川敷で遊んでいた少年達や、株式会社のオフィスでも続けて発生していたのだった。
「これって、あそこの高級住宅街で起きた事件と、関係あったりするのかな?」
私は思わず、夢奈にそんなことを訊いていた。
「当たり前じゃん。白骨死体なんて、滅多にあるもんじゃないし」
「じゃあ、犯人は、前に夢ちゃんが言ってた、鳥の仕業なの?」
「多分ね。何を企んでるのかは分かんないけど」
「でもその山とか鳥って、願いが叶うって触れ込みなんじゃなかったっけ?」
私は怪しまれるのを覚悟で、そう尋ねてみた。
「そんなの、『眉唾』ってやつだよ。ほら、佳苗ちゃん、よく言ってるじゃん」
「願いを叶えてくれるなんて、信用できないってこと?」
「まあ、分かんないけどね」
にこっと夢奈は笑うと、テレビに顔を向けた。
(本当に私が出会ったあの鳥が、こんな事件を引き起こしているの…?)
そう考えずにはいられなかった。
(でも、だとすると、私も…)
思考が広がりかけ、私は勢いよく首を横に振る。
詳細は何も分からないが、少なくとも私はあれ以来、鳥の姿を見ていないのだから、きっと大丈夫だろう。
私は、そう心に念じることにした。
「あ、そうだ夢ちゃん。私、今度の土曜日、また出掛けるから、お留守番、よろしくね」
「良いけど、ほんと最近多いね。お出かけ。どこ行くの?」
「えーっと、ちょっと遠いとこまで、買い物に、ね」
「ふーん。まあ良いけど、気を付けてね。おやすみ」
夢奈は特に気にするでもなく、寝室へと姿を消した。
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