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『何者だ、お前』
巨大鳥が、ふわりと舞い上がり、そう訊ねた。
「佳苗ちゃんを、助けに来たの」
そう言って公園の陰から息を切らして現れたのは、夢奈だった。
「夢ちゃん…!どうして…」
「佳苗ちゃんってさ、多分自分が思ってるより、すっごく分かりやすいんだよね。明らかにお出かけが多いし、帰りは遅いし。しょっちゅうペロちゃんは買い忘れるし。もう、バレバレ。それで心配になってついてきてみたら、これなんだもんね」
夢奈は、巨大鳥を指さした。
「あんた、あちこちで暴れまわってるらしいね。願いが叶う山だなんて触れ回って欲望に駆られた人間を餌にする。しかもやり口は悪質で、一度は願いが叶った風に見せかける。あげてオトすってやつだね。あはは」
余裕たっぷりに笑う夢奈に、巨大鳥は動揺を露にする。
「まあね、私は正直、知らない人が骨になってたってどうでも良いの。だって私は正義のヒーローじゃないし。大体私、ああいうの嫌いなんだよね。事情も知らない癖に割り込んできて、ヒーロー面する奴って。あんなの自己満なんだよ、自己満」
有無を言わせぬ口調で、夢奈は続ける。
「だから、あんたがどこでなにしてようと私は構わない」
夢奈が間を置き、沈黙が流れる。
「でもね。私は、佳苗ちゃんを傷つける奴は、絶対に許さないの。私は、佳苗ちゃんが、大好きだから」
毅然とした口調で、夢奈は言い切った。
「夢ちゃん…」
夢奈の言葉に、私はまた、目を熱くする。
『何だか知らないが、私に敵対しようというのだな?』
「うん。悪いけど、佳苗ちゃんには、指一本触れさせないから」
『ほほぉ。面白い!やってみろ!』
罵声のような声を出した巨大鳥が猛然と羽ばたいて、夢奈の方へ突進する。
「夢ちゃん!危ない!」
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