第二話 02

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「ゆ、夢ちゃん…?」 公園の中央で、夢奈は何事もなかったかのように立ち尽くしていた。 私は、状況に頭で整理しきれていなかった。 巨大鳥が夢奈に目掛けて思い切り飛び掛かった。しかし、それを夢奈はひょいとかわすと、鳥は出力を失ったかのように地面に墜落したのだった。 (触れることもなく、夢ちゃんはあんな巨大な鳥を倒したの…?) 鳥は、そのまま地面でもがいている。 「私に、勝てるとでも思ったの?」 夢奈はそう言って、ポケットからペロちゃんを取り出した。 『覚えて、いろ…』 そう声が聞こえたかと思うと、地面にのたうち回ってもがき苦しんでいた巨大鳥が、忽然と天に吸い込まれるようにして、消えてしまった。 私はその様子を、ぽかんと口を開けながら見つめているだけだった。 夢奈は鳥に何をしたのか、そもそも今起こったことは何だったのか、全く頭が追い付いていなかった。 「これで、一件落着っと」 ペロちゃんを口に含ませながら、夢奈はこちらにすたすたと近づいてきた。 「いつか、こんなことになるんじゃないかなって思ってたんだよね」 「…」 「佳苗ちゃんが貢いじゃった男も、全部最初から仕組まれてたんだよ。あれは、典型的な結婚詐欺だね」 私は胸がドキリとする。 正彦のことは隠していた筈なのに、夢奈には、全てがお見通しなのだ。 「…そこまで知ってたんなら、言ってくれても良かったのに」 私がふくれた顔を見せると、 「ごめんってば。言おうとは思ってたんだけどね、何か、佳苗ちゃんが楽しそうだったから。それに、浮かれてる佳苗ちゃんを見るの、中々面白かったんだよね。あはは」 「ちょっとー!何それー!?私はずっと夢ちゃんに泳がされてたってこと!?」 「そゆこと。でも、安心して。佳苗ちゃんが渡したお金、全部、私がおもちゃのお金に差し替えといたから」 「えーっ!?」 「だから、ペロちゃんを心置きなく買って良いんだよ?」 私はその返答にずっこけそうになる。 「まあ、私は佳苗ちゃんがどこにいても、何があっても、必ず佳苗ちゃんを守ってみせるから」 夢奈は握り拳を差し出した。 「頼もしいね、夢ちゃんは」 目を潤ませながら、私はゆっくりと、握り拳を差し出して、夢奈の小さな拳に合わせた。 公園に射し込んだ夕陽が、二人を朱く照らした。 「さあ、相談所に帰ろう、佳苗ちゃん」
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