5. タイミングってやつ

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「触るぞ」  そう言って、すっかり反り返った千秋のそれを握って、動かし始めた。明らかな快感に、千秋の体がビクビクと反応する。 「ん、あっ……」  きもちいい、きもちいい。頭の中はそればっかりになる。そして、久しぶりなのもあって、しばらくするとすぐにイってしまった。 「はぁ……はぁ……」 「気持ちよかった?」  一度出して脱力する千秋の額に、英司が口付ける。  見てみると、英司のものがさっきよりずっと大きくなっているのがズボン越しでもわかった。 「千秋?」  のそのそと動き出した千秋に、英司が不思議そうする。  起き上がると、英司が座る体勢になり、千秋が股間に顔を寄せる。 「あっ、こら、だめだって」 「やだっ」  制止するように伸ばしてきた手を振り払う。しなくていいって言われたけど、やっぱりそれじゃいつもと同じだ。それに、これは渋々じゃない。 「ほら、体起こして。俺がやるから」 「やっ、したい……っ」  英司がそこから引き剥がそうとするが、今回千秋は頑なに離れようとしない。 「え、したいの?」 「ん……」  ここまで拒否られるなんて心外だと恨めしい目つきで英司を睨む。 「えー……」  英司が、困ったように口角を上げた。 「いや、千秋がいいなら、そりゃ嬉しいけど」 「……じゃあ、してもいいですか?」  しばらく考えると、英司は根負けしたように頷いた。  その反応を見届けて、千秋はおそるおそるズボンを下げると、下着が顔を出す。  それ越しでもわかる、英司のものの大きさ。千秋は、興奮気味に息を漏らすと、そこにキスを落とした。 「う……」  見上げてみると、英司はまた口を手で押さえていた。  構わずに、下着越しにそれを唇ではむはむ咥えてみる。これで合っているのかわからないけれど、英司のがびきびきと一段階大きくなった。 「わ……」  さらに大きくなったものを見て、素直に驚いた。これがいつも中に入っていたというのか。  気づけば、下着も下げていた。リアルなそれを見て、千秋は圧倒される。 「おい、そんなまじまじ見んなよ」 「だ、だって」  柳瀬さんも恥ずかしいことってあるのか。  でも、それを目の前にしても、やっぱり嫌悪感は全くない。千秋はたまらなくなって、ぺろ、と少し舐めてみた。大丈夫そうだとわかると、根元の方は握り込んで、先端の方を口に含む。  気持ちいいかわからないけど、英司がやるように、千秋も必死になって舐めた。 「う、やべ……」 「んん……っ」  英司が苦しそうに顔を歪めたので、一度離して様子を伺う。慣れてないので、千秋も息が上がっている。 「あの、気持ちいいですか?」 「あ、ああ……どっちかといえば視界的にやばい」  視界的に?意味がわからなかったが、続けていいということだろうか。千秋はまた元に戻ると、今度はさらに奥まで咥え込んでみた。  英司の息がまた荒くなった。こっちの方がいいらしい。苦しくて涙目になったが、不思議ともっとしてあげたい、という気持ちが強まった。 「千秋、そろそろいいよ」 「んんっ」  しばらくやったところで、英司が声をかけてくる。頭を撫でられて、あ、と口を開けて離した。 「ありがとな」 「でも……」  まだイってない。反応はしてるけど、やっぱり気持ちよくなかったのか。初めてやったから仕方ないけど、少し不甲斐なさを感じる。 「……正直、お前がこんなことしてくれるなんて、考えるだけでめちゃくちゃくるんだ」  だから、やばいと。今日の英司は、よくやばいと言うが、どういうやばいなのか。  しかしその様子からすると、とりあえず千秋のフェラは悪くなかったということだろうか。そう解釈することにした。 「もう限界。千秋に触らせて」 「あっ……」  だって、現にこんなに興奮している。  千秋を押し倒すと、英司は貪るように千秋の体の至るところにキスマークをつけた。  そして、我慢できないといった様子で、後ろに指を這わせる。 「準備したから、もうっ……」 「俺のために?」 「うん、うんっ」  我慢できないのは千秋も同じだった。英司のものを舐めて、自分までこんなに興奮しきってる。  準備したとは言ったが、英司はしばらくそこをほぐすと、 「いれていい?」  と汗をたらりと流しながら言った。その余裕のない顔が色っぽくて、心臓がばくばくと音を鳴らす。千秋はひたすら頷くしかなかった。 「あ……っ」  すぐに、英司のものがはいり込んでくる。  全てはいり切ると、正面からきつく抱きしめられてキスをされた。その状態のまま揺さぶられると、わけがわからなくなる。 「あ、あっ……!」 「千秋……っ」  最初からずっと気持ち良くて、気持ちいいことと、英司のことしか考えられなくなった。 「あっ、だめっ、これっ……!」 「ん、どうした……っ?」  なんか、違う。いつもの感覚と違う。  様子の変わった千秋に、英司が一度動きを止めようとする。しかし、「やだっ」と涙目で訴える千秋に足でホールドされ、さらに激しくなった。  与えられる快感に、堪えきれない気持ちになる。 「はあ……っ」  そして、急激に込み上げてくる感じがあって、 「ん、やあ……っ!」  やがて、千秋は出さずに達してしまった。  ビクビクと盛大に背中をのけ反らせると、千秋はまだ快感の中にいた。 「あ……はあ……っ」 「千秋っ……、大丈夫か?」 「なんか、おかし……」  快感が抜けきらないこの感覚。まだぴくぴくと体が小さく痙攣し続けている。 「中だけでイった?まだ震えてる、可愛い……」  うそ、俺、中だけで?  英司は脱力しながらも驚いている千秋を抱きしめた。どうしても縋りたくなって、千秋もきゅうと抱きしめ返した。  そして、英司がもう一度「最高の誕生日だ」と言って、千秋は頬を綻ばせる。  ……ああ、幸せだ。素直にそう思う。
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