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「実は、アパートの隣人と、ちょっと……」
「なに、隣人トラブル?一人暮らし始めたばっかなのに大変だな」
カツカレーをガツガツと食べながら憐れまれる。
「い、いやそこまでじゃないけど。でも引っ越そうと思って新しい部屋探してるけど、見つからなくて」
「え、でもお前引っ越したばっかりだろ?」
「俺だってまたすぐってのはどうかと思ったけど、そうするしかないんだよ」
「へえ、そういうもんか。まあうちのアパートはかなりおすすめだけど、空きがあるかはわかんねーなぁ」
大抵そういうところは運が良くなければ空きはない。やっぱりだめか。
少し残念がっていると、拓也は「うーん」と考える素振りをした。千秋は千秋でようやくうどんに手をつける。やっぱりここのうどん、うまいな。
「その隣人、結構アレな感じ?」
アレな感じ、か。千秋はやつの顔を思い浮かべると、乾いた笑いをこぼした。なんたっていきなりキスしてくるやつだ、次会ったらどんな目に合うか。
「はは……まあ……。アレな感じだな」
「なら、次の家見つかるまでうちに来るかー?」
「えっ、いいのか?」
「おうよ」
カツカレーを食べながら、拓也はなんでもないように言う。
考えもしなかった。その手があったか。いやでもいいのか、そんなこと。普通に迷惑だろ。いくら相手が拓也とはいえ、一方的に迷惑はかけられない。
「あ、お前また遠慮してんだろ。いいんだぞ、俺、お前に飯作ってもらうし。あっ!あと合コンにも来てもらうからな」
「拓也……」
俺には今、お前が神様に見えるよ……。
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