2. 流されるな

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 なんだったんだろう、あの1週間。  口からぽろっとこぼれるように出たそれに、千秋はげんなりした。俺、普段独り言とか言わないタイプなのに。  そんな千秋は翌日、正真正銘、自分の部屋に戻ってきていた。早朝とはいかなかったが、少し遅めの朝ごはんを食べてから帰ってきたのだ。  拓也に迷惑かけてまで、本当何やってたんだ俺。隣人トラブルとか言って新しい家が見つかるまでと拓也の家に逃げ込んだくせに、当の隣人と拓也を会わせてしまったし。  洗濯してない衣服を取り出して洗濯機に放り込む。そういえば、隣から人の気配はしなかった。水曜日の今日は、まだ13時。まだ帰ってくるには早いのか。  いや、別に帰ってきても会うわけじゃないけど……。  一人で苦笑いしながら洗濯機のボタンを押した。拓也の家の洗濯機は一人暮らしをする際両親にプレゼントされたらしいドラム式だったが、千秋のは縦型である。なんだろう、洗濯機が回ってるのを見るのって落ち着く。  ずっとそうしているわけにもいかないので、出る前一応きれいにはしたが1週間も経っているので掃除を始める。綺麗好きっていうわけではないけど、もういつものクセみたいなものである。ある程度は綺麗を保たないといけない気がする。いや、それってすでに綺麗好きなのか。わからない、まあでも汚いより綺麗の方がいいじゃないか。  ……と、現実逃避するようにどうでもいいことを考え続けてはいるが、実は千秋には決めなければいけないことがある。
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