3. つながりを求めた

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 その後の合コンは散々で、ひたすら英司のことで頭がいっぱいだった。  英司は医学部で、キャンパスが違うから気づかなくて、毎日忙しそうで……。そうなら、全ての辻褄が合う。しかも、うちの医学部となればかなりの難関である。柳瀬さんって、やっぱり頭いいんだ。  上の空でぐるぐる考えていると、「拓也がついに潰れた!」と友人の一人が騒ぎ始めた。まだ一時間しか経ってないのに、最初から飛ばすからだ。 「え、高梨くん帰っちゃうの?」 「まだ少ししか時間経ってないのに〜」  女子たちが不満そうに言い始める。たしかに二人も抜けたら盛り下がるかもしれないけど、拓也が潰れてるのではしょうがない。 「ごめん。悪いけど拓也を送ってかないと。今日はありがとう」  それから彼女たちはしばらく食い下がったが、拓也を立ち上がらせて、なんとか合コンを抜けた。最後にまた拓也の友人に礼を言われてしまった。  タクシーに乗って拓也を部屋まで送り届けた後、千秋は歩いて帰ることにした。ここから30分くらいかかるけど、急いでないし、言うほどの距離じゃないだろう。  歩きながら、考え事の続きをする。  英司が土日だろうといつも夜遅くに帰宅してくるのは、医学部だったからか?  勉強が大変そうというのはイメージとしてあるけど、生活スタイルがまちまちで不揃いなのも、そういうことなのか。  色々と疑問は湧いてくるけど、なにせ医学部について千秋は全然知らない。  考えても無駄なのは分かっているが、こんな近くにいたのにも関わらず、同じ大学だと今まで知らなかったことに、思ったより驚いているようだ。  よし、考えるのやめよう。  同じ大学だからといって、キャンパスも違うし普通にしていれば会うことはない。今までもそうだったように。  確かにびっくりはしたが、千秋には関係のないことだ。何より、ずっと英司のことを考えている自分が気持ち悪すぎる。  途中で何か買っていこうという別の思考へシフトさせると、千秋は足早に家を目指した。
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