3. つながりを求めた

12/27
前へ
/152ページ
次へ
 英司がつくってくれた、ほかほかと湯気漂うおかゆを掬って、ふーふーと少し冷ましてから口に含む。 「食べられるか?」 「はい……おいしいです」 「さすがにお粥くらいはつくれるからな」  別に何も言ってないのに、と思いながら温かいおかゆをゆっくり口に運んでいく。 「あの、ここまでしてくださってありがとうございました。運んでもらったり……色々迷惑、かけてすいません」 「そんなこと考えんな。迷惑なわけないだろ」  最後に会った時あんな感じで別れたのに、こうして面倒を見てくれる英司は優しい。    おかゆが食べ終わると、食器を持って英司はキッチンの方へ消えていく。  横に置いたスポーツドリンクを少し飲むと、こうなったら早く回復しようと布団を首まで上げて横になる。  かちゃかちゃと食器の音が聞こえてきて、それが心地いい。  柳瀬さん終わったら帰っちゃうのかな…と目は閉じつつ眠れずにいると、食器を洗い終えた英司が部屋に戻ってきた気配を感じた。  ゆっくり目を開けて姿を捉える。 「なんだ寝てなかったのか。でも眠そうだな」 「柳瀬さん」 「ん?」  ベッドのそばまでやってきて枕元にしゃがみ込むと、千秋の話を聞くために近づいた。  そんなに近いと、風邪を移りますよ。先にそう言おうとしたけど、やっぱり出てこなかった。 「……怒ってますか?」  その代わり、熱に浮かされるままにするりと出てきた言葉。にもかかわらず少し声が震えた。 「……悪い。体調崩したの、俺のせいだよな」  千秋の質問には答えず、少し罰の悪そうな顔をした。  いや…そうだけどそうじゃないというか。結局は自業自得、というか。とにかく英司の責任ではない。  顔をふるふると横に振ると、英司が優しく笑った。 「……怒ってねえよ。でも、俺はお前のこと傷つけた。あのとき結構焦ってて…本当ごめん」 「傷ついたというか、ショックだっただけで……」 「余計ひどいな、俺」 「いやショックってのは自分にっていうか、とにかく、俺は傷ついてないんです……でも……」  もう文脈がグダグダだ。自分でも何言っているのかわからない。熱がなくたって、こんな俺の心情説明できる気しない。  なのに、普段なら言わないことを、ぽろぽろと言ってしまう。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1327人が本棚に入れています
本棚に追加