3. つながりを求めた

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 でもおれ、こんなところ触られただけで……。  ガーンと若干ショックを受けたが、英司は構うことなく次の行動に出た。 「あっ……!」  すっかり大きくさせた千秋のそこを優しく包むと、遠慮なく上下し始める。 「はぁ……あっ……つ、つよいっ……」 「強い?」  いつも自分でするのとは違って、英司が激しく扱いてくるので、すぐにピークが訪れてしまいそうだった。  意地悪そうにわざと聞いてくる英司が、頬にキスを落としてくる。その手を止める気はなさそうだ。 「も、もうだめ、だめだってっ……はぁ……あっ……!……あ……?」  しばらくして、ついに達しようとしたとき、唐突に英司の手の動きがぴたりと止まった。欲望を出すことのできなかった自身のものは、ぴくぴくともどかしげにしているだけだ。  千秋が、なんで?とハテナを浮かべて困っているので、英司は愛おしげに笑った。 「寸止めして悪いな。でも、お前が準備してくれたこっち、触っていい?」  英司がするりと後孔を撫でる。  ああ、柳瀬さんが興奮してる。彼の兆しているものが目に入って、思わず小さな息が漏れた。俺も興奮、してるんだ。 「は、はやくっ……」 「まずは指からな」  英司が興奮しているのはまちがいないが、妙に冷静に物事を進めていくので、どうにもじれったい。  英司がローションの蓋をかぱりと開く。 「……柳瀬さん」 「ん?どうした。こわい?」  覚悟は決めたし、今さらこわいとかはないけど。この様子だと、ひどくされることもないだろう。  がっついてこないのは、きっと千秋が初めてで、慎重に扱ってくれてるからで……。 「柳瀬さんも、服脱いでください。俺だけ裸なの……いやです」 「ええ?俺が見たいんだよ」  恥ずかしいこと言われた上に、話が通じない。  だって、なんだか俺だけいっぱいいっぱいで悔しい。俺だって見たいとは間違っても口に出さないが。 「……俺は全部さらけだしてるのに、柳瀬さんはみせてくれないの、ずるい…」  恥を忍んで拗ねた小さな声で呟くと、しっかりと耳に届いたらしい、英司がばさりとシャツを脱ぐと、千秋を強く抱いた。  ああ、やっぱり素肌同士でくっつく方が気持ちいい……。 「千秋……お前わざとだよな?そういうの」 「わざとっていうか……仕方なくっていうか……」 「ふ、なんだそれ」  恥ずかしい本音をわざわざ漏らすのは、仕方なくじゃないと千秋にはできない。それを言ってやってるんだから、褒めてもいいくらいだ。  英司はもう一度唇にキスを落とすと、ローションで手を濡らした。 「指、入れるぞ」 「はい」  準備段階で自分で指を入れたのだから、それくらいなら大丈夫なはずだ。  そこにもローションを垂らされると、慎重に英司の指が中に入ってくる。 「……んく……はっ、は……はぁ……」 「大丈夫か?」 「だい、だいじょうぶ……」  自分で入れたことがあるといってもちょっとだし、さっきの準備も意を決してやったのだ。この異物感にはまだ慣れない。  ちらりともう一度英司のものを見てみる。……うわぁ、入んのかな、あれ……。  だんだんと中を広げられていき、ふうふうと千秋が息荒く呼吸する。指は2本に増えていて、千秋の中を撫で続けている。 「千秋、そんな唇噛むな」 「ん……」  英司は指で唇にこめられた力をふっと解いた。  ある程度そこが柔らかくなったと判断されると、英司はまた慎重に指を抜いた。  そして、さっき千秋が言ったからか、そのままズボンと下着も脱ぎ去っていく。  柳瀬さんの何も纏わない姿を見るのは初めてだ。バランスがよくて、ある程度筋肉がついていて、不思議な色気に思わず目をそらしてしまう。  でもすぐ頬に片手を添えられると上に向けられて、向けられたその瞳に吸い込まれていく。 「千秋……」  ああ、欲情した男の目だ。  整った顔が歪む姿は、千秋の心臓を高鳴らせたし、気分がよかった。この男は自分でこうなってるんだ、と。 「千秋……いれていいか。とめるなら今だ」 「とめないですよ……」  そう言ったところで再び唇が重なる。今度は深くゆったりとしたキスで安心させると、千秋の体の力も抜けていく。  いれるぞ、と慎重な英司がもう一度言うと、ゆっくり先の方が中に入ってきた。 「うっ……あ……」 「は……大丈夫か?」 「大丈夫だけどっ……大き……っ」 「っ……バカ、今そういうこと言うな」  もう自分でも何を言ってるかわからない。でも指とは明らかに違う、圧迫感に抑えようにも苦しい声が漏れてしまう。  腕こっちに掴まれ、と英司の首に回されると、千秋は着実に割り入ってくるその存在に、思わずぎゅうと抱きついた。  目の前に英司の顔があって、抱きしめられながらキスをされると安心するような気がした。 「はぁっ……はぁっ……」 「はいったぞ……がんばったな、千秋」 「はいった……?」  きついほどに抱きしめられ、顔中にキスを落とされる。  後ろはたしかにきついけど、なんか、これ幸せかも………と、回らない頭で思った。
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