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しかし、動かずにじっとしている英司。キスをされているうちに、なんだかムズムズとしてくる。
「柳瀬さ、うごいて」
「でもしばらくこうしてた方が」
「やだっ、うごいてっ……」
ぎゅうっと首を抱きしめると、中の英司のものが少し動いて、変なところに当たった。
「あっ……?」
「どうした?千秋」
「な、なんか変なところ……今……」
「今のところって……ここか?」
「んやっ!や、やだっ」
ぎゅうぎゅうと首を抱き締めるものだから、英司は見ずに腰を抱き寄せながらその箇所を突いた。
千秋は、未知の感覚に目を見開くばかりだ。
「なんかおかしっ、そこ」
「おかしくねえよ、お前の気持ちいいところだ」
「おれの?」
腕を緩めて英司と至近距離で見つめ合うと、千秋を安心させるようにそう言った。
そして、またゆっくりと律動を始める。
「あっ!ん……あぁっ」
だんだんそれは速くなって、でも無理のない程度に千秋を揺さぶった。
後ろだけですでに気持ちいい。でもなぜか達せそうにない。初めてだからだろうか。
その気持ちよさともどかしさとつらさで生理的な涙がぼろぼろと溢れてくる。泣きたくないのに出ててきて、止めようにも止められない。
「はぁっ……あっ、いきた、のにっ」
「あーこれ目腫れちゃうな……かわいい……」
汗を垂らす英司が千秋の涙を掬いながら愛おしそうに笑う。
そして、行き場なく揺れるだけの千秋の前のものを握り込むと、さっきのように上下に扱き始めた。
「あっ、だめ両方っ、や、やだっ……!」
「は……やだって顔じゃないけど?」
英司が意地悪く微笑みながら、自身も余裕なさそうに息を漏らした。
そして、千秋は自身の限界を悟る。さっき寸止めされた上に、両方同時になんてもう耐えられない、そんなの反則だ。
「あっ……英司くん、えーしくんっ……」
「っ千秋……もういきそう?」
「うんっ、うんっ」
コクコクと頷くと、英司に抱きしめられて、耳元で囁かれる。
「は……千秋っ……」
「はぁっ……あ、あっ…………!」
背中をグンと仰け反らせると、英司に抱かれながら欲望を吐き出した。ぐったり力が抜けた体を英司が支える。
そのすぐあとに英司も達したようで、横に倒れ込んでくると、まだ息の荒い千秋をもう一度引き寄せた。
「はぁ……」
「大丈夫か、千秋」
「……うん……」
「あーだめ、めちゃくちゃかわい……」
まだふわふわとしているが、そう言われながら頬を撫でられると、そこがさらに朱に染る。
どうしようもなく恥ずかしくて、嬉しくて、気持ちよくて、悔しい。
それ以上は何も話さなかった。
お互い抱き合って、静かに、名残惜しむように、ただ、キスだけを繰り返した。
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