子どもの頃の友達

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 僕はこのアパートが好きです。部屋の数が4つしかなくて、下に2つ、上に2つで、下の部屋まで少し高く、そこまで階段があるのでそのアパート自体縦長に見えます。それがなんだかおしゃれに見えますがボロボロです。  僕の友達の部屋はその2階にあるので少しワクワクします。  チャイムを押すと彼はすぐに出てきてくれます。 「よう、また来たな、小僧」  にいちゃんは今日以外の曜日は毎日アルバイトをしているそうです。  僕はにいちゃんが出してくれたアセロラジュースをいっきに飲み干します。 「小僧、学校は楽しいか?」 「別に楽しくはないね」 「それは良くないね。最近は学校で何があった?」 「図工の授業で、作る工程を間違って担任の先生に怒られていたら、隣のクラスの先生が通りかかって、僕の作品を褒めてくれたんだ」 「良かったじゃんか」 「その先生は自分のクラスメートから嫌われていて、そして僕もきっとその先生の生徒だったとしたら嫌いになっていたと思う。でもあまりその先生との関わりがなくて、そのとき褒められただけだから悪い印象は無いんだ。そしてそのとき僕は将来、何かを作る仕事がしたいと思ったよ」 「将来の夢が出来たのは良いことだ」 「にいちゃんは何か夢はある?」 「ずっとパティシエになりたかったんだけど、高校卒業してすぐバイトしているしなかなかそれも難しいし、今のバイトに生きがいも感じでいるからな」 「どんなバイトしているの?」 「子どものおもちゃ工場で、出来上がったおもちゃに危険がないか確かめる仕事さ。おれが世界中の子どもの命を救っているという実感が持てるんだよ」 「すごいんだね。世界中の子どもたちはにいちゃんに守られているんだ」 「だけど、時々思うよ。コンビニとかで製菓専門学校の生徒のスイーツとか売られてるのを見るとさ、くそって思うんだよ。おれも……ってな。ただの嫉妬さ」 「今の仕事もすごく立派な仕事だと思うけどね」 「まあな、おれはこれでいいのさ。おれはきっと人の笑顔が好きなんだよ。笑うことってすごいことだ。その笑顔を守れているならそれでいい」  にいちゃんは清々しい表情を浮かべて笑っていました。確かに、笑っているのを見るとこっちまで気分が良くなる気がします。 「じゃあもう行くね。アセロラジュース美味しかった。ありがとう」 「おう、またおいで」 「うん、また行くね」
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