子どもの頃の友達

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 クラスメートなどの同級生は幼稚なので、僕とは話が合いません。でも僕にはたくさんの友達がいます。今日は、隣のシェフじいさんの家に行きました。 「シェフじいさん!遊びにきたよ」 「いらっしゃい。今日はマカロンだよ」  おじいさんはいつもお菓子を用意しておいてくれます。食べると優しい甘さがひろがります。  おじいさんは昔、パティシエをやっていて、辞めて何年も経った今でもいつもシェフコートを着ています。 「今日シェフじいさんは何やってたの?」 「本を読んでいたよ」 「どんな本?」 「オールブラックスが強い理由という本だよ。それだけを百回以上読んでいるよ。それ以外は読んでいない」 「なぜそんなに読むの?」 「何回も買わずに済むからね。それに1回目で分からなかったり気づかなかったことが2回目で分かる。2回目で気づかなかったことが3回目で分かるんだよ。100回読めば1回目とは違う本になるんだよ」 「それ、ノンフィクションでしょ?事実は一つじゃない?」 「たしかに1回理解したら終わりだけれど、もっと違った理解を自分なりに作り出すんだよ。そうすればノンフィクションが自由自在で壮大なフィクションになるんだよ」 やはりおじいさんの話は勉強になります。 「僕は忙しいからもう帰るね」 「そうか。じゃあまたいつでもおいで」 「うん」
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