ムカーッ! 3:影(かげ)

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 すると主人は、笑顔で、 「その様子だと、とっても意外な物を、お求めか‥‥?」 「あの‥‥その‥‥影って‥‥ありますか?」 「ん? 影とは‥‥人の影のことかね?」 「はい。女の子の‥‥」 「ホッホホ。あるには有るが‥‥少々、高いよ」 「何円(いく)らですか?」 「十万円じゃ‥‥」 「ひえー! それは無理です‥‥」 「分かっとる。今すぐでなくていい。キミが大きくなって、出世して、それだけ稼げるようになってから、払っておくれ」  そう言うと主人は、店の奥から二本の黒いピラピラした物を出してきた。 「これが影じゃ。これを、その子の足元の後ろに付けるのじゃが、必ず、その子に、今から付けるよ、と確認してからすることじゃよ」  僕は主人に礼を言うと、急いで小学校に戻った。  女の子は寂しそうに、校門にもたれて待っていた。
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