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すると主人は、笑顔で、
「その様子だと、とっても意外な物を、お求めか‥‥?」
「あの‥‥その‥‥影って‥‥ありますか?」
「ん? 影とは‥‥人の影のことかね?」
「はい。女の子の‥‥」
「ホッホホ。あるには有るが‥‥少々、高いよ」
「何円らですか?」
「十万円じゃ‥‥」
「ひえー! それは無理です‥‥」
「分かっとる。今すぐでなくていい。キミが大きくなって、出世して、それだけ稼げるようになってから、払っておくれ」
そう言うと主人は、店の奥から二本の黒いピラピラした物を出してきた。
「これが影じゃ。これを、その子の足元の後ろに付けるのじゃが、必ず、その子に、今から付けるよ、と確認してからすることじゃよ」
僕は主人に礼を言うと、急いで小学校に戻った。
女の子は寂しそうに、校門にもたれて待っていた。
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