ムカーッ! 3:影(かげ)

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 僕が東京の愛の巣を目前に、近くの道を歩いていたのは午後四時頃だった。  すでに圭子の姿は無いんだろうな‥‥と思いながら、僕は、ホッとして、ニッコり笑った。 「やっと、これで‥‥」 そして玄関まで来た時、近所の主婦が、 「あら、今ごろお帰りですか?」  その後ろには別の主婦、数人がいた。 「えー、ちょっと急用で‥‥」  すると突然、自宅のキッチンの窓が火を吹いた。  主婦たちが悲鳴を上げる中、僕は愕然(がくぜん)とし、 「圭子ー! 大丈夫かー!」  ドアを開けると、すでに火の海だった。  僕は仕方なく、主婦たちと共に逃げると、スマホで救急に通報した。  やがて十台の消防車が到着し、けんめいに消火活動がつづけられた。 「そうか‥‥あの時‥‥僕が道を歩いていた時、圭子は僕の傍にいたんだ‥‥。それで、僕の言葉に怒って、この家に火を‥‥」  結局、僕の家は全焼してしまった。   ――終――
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