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「神路!ちょっとおいで」
「なーにママ!?俺ゲームで忙しいんだけど」
「そんな小さい画面見てないで、たまには父さんと母さんの手伝いでもしなさい。ねえお父さん?」
「まあまあ。なんだかんだ言って、言えば手伝ってくれるよ神路は」
「手伝い?え、なにこれ」
見ると母親の背丈ほどある大きな苗木が玄関の壁に立てかけられていた。
もうすぐ5歳になる神路が見上げるほどに、大きくて立派だ。
「どうしたのこれ?」
「母さんの実家の近くに大きな神社があってね。娘さんが生まれた時にお祝いで、境内のあちこちに植えたらしいの。その株分けがあるって聞いて頂いてきたのよ。神路の誕生日のお祝いだよ」
「えー、木がお祝い?俺はブロックのおもちゃを...」
不満げに言う神路に両親は苦笑いするが、母が神路の横にしゃがみ込むと明るい声で言う。
「あんた!この木はね、縁起物だからこうして家を建てたら植えようってずっと言ってた木なのよ!そのタイミングで神社から頂けるなんて、凄い偶然だと思わない!?」
「そうなんだ...」
顔を上げて改めてその苗木を見上げてみると、なんだか力強くてキラキラと輝いて見えた。
とても不思議な感じがした。
「まあ、いいか。この木なんかキレイだし」
「でしょ!なんたってね…」
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