ご機嫌斜め

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

ご機嫌斜め

 飼い猫の機嫌が悪い。  機嫌が悪い理由はわかっている。俺が夕食とシャワーを済ませた後、いつものように机に向かって手帳を開いていたら、飼い猫がすねこすりをしてそのまま足下に座り込んだのだ。  そこまではいつも通りだったのだけど、ふとした拍子に姿勢を変えたときにあろうことか俺がしっぽを踏んでしまったのだ。  それは怒る。さぞかし痛かっただろう。  ふてくされて手帳の上に乗っている飼い猫を宥めたいけれども、撫でても引っ掻くし威嚇されてしまう。  これはもう最終手段を取るしかない、この子の好物のささみを茹でよう。  そう思って台所に行き冷凍庫に手を掛けると、飼い猫が急にかわいい顔をした。  これからささみを茹でるのをわかってる。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!