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翌朝、目が覚めると俺は草原の上にいた。竜の体は跡形もなく消えていた。
俺は月夜花を洞窟の中の花瓶に生けた。
すると、銀色の光と共に花瓶ごと花が消えた。
きっと彼女が、花瓶ごと持っていったのだろう。そう思った俺は、奥の暗闇に向かってそっと言った。
「珍しい青い花がもうすぐ咲くみたいなんで、咲いたら持ってきますね」
勿論、返事はなかった。
俺はそっと立ち上がり、洞窟から出た。すると、洞窟から吹いた優しい風に乗って綺麗な声がした。
「馬鹿が」
よく知っている声の主を頭の中に思い浮かべて、俺はゆっくり岩山を降りた。
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