第二章 ウチのエルフさん

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「危ない!」 僕がしばし目を離したすきにヴィアさんが旧甲州街道にかかる横断歩道の赤信号を完無視し、直進車に引かれる寸前! 腕を前に出して、車を止めやがった……まるでそこに見えない壁があるように直進車はヴィアさんの手前3mのところで、盛大な音を立ててフロント、ボンネット付近が大破、いい感じで煙を引き、運転席ではエアバックが盛大に膨らんだ後だった。 やりやがった……呆然とする僕に、 「行くよ!!」 ヴィアさんは腕を取って、逃げた! 「アハハ!」 オイオイ、どうすんだよ。あれ…… 「ねえ? もしかして、あれが信号?」 狭い歩道を走りながらそんな事を言っている。 「そうだよ、それより、あれどうするよ」 「考えればわかるでしょう。私らのことなんて全然、繋がらないよ、この世界は魔法を否定してるんだから、車が魔法でつぶれましたって? 保険会社はそんなの認定しないよ。 それより! 電車乗り遅れるから急ぐよ!!」 「ヴィアさん、魔法禁止だって、言ったよね!」 「ごめんごめん、ついね、考えるより早く手が出ちゃうんだ。私これでも優等生だったんだから……」 そう言って、前を走りヴィアさんは、アハハと笑いながら、手を出して僕の手を取ると、 「手! 繋ごう!!」 笑顔で走っている。 温かく、柔らかな手だった。 当たり前だけど、温かかった。 手をつなぐことって……こんなに、嬉しくて、ドキドキすることだったんだ。 人の多くなってきた駅前付近の歩道を、楽しそうに走る彼女に引かれるように、僕は彼女の美しい髪が、前よりもなんか色が変わってきた気がする薄茶色の髪が、揺れるのを見ながら、忘れていた感覚を思い出して…… 嬉しくなっていた。
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