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「零」
ー数年後ー
鈍い音がする。
その音の元には倒れた男児と拳に血を付けた白衣の男性。
「あう……うぅ……い……た…い……」
「お前が薬を飲まないからだろう?研究が進まないから早く飲め。」
口を無理矢理開けられ、錠剤と水を一気に流し込まれる。
飲み込むまで鼻と口を抑えられ、ジタバタとする男児。
「ゴクッ……」
そう聞こえた瞬間、白衣の男性は手を離す。
「ゲホッ……カハッ……もう……やめてよ……」
涙目になる男児に白衣の男性はこう言う。
「じゃあお前は研究員のサンドバッグにでもなるか?それとも性処理道具でもいいぞ?貴重な実験用人間なんだからそれはそれで勿体ないがな。あっはっは。」
口では笑っているが、目は笑っていない。
それに狂気を感じているのか、男児はカタカタと震える。
「お前は自分一人じゃ生きても行けないんだ。私達に生かされているという事を忘れるんじゃないぞ。実験ネーム、零よ。」
「……」
「分かったな!!」
「はい……」
殴られ他挙句に怒鳴られ、子供ながらに『研究員』に恐怖を覚える零。
「ったく……だから子供のお守りは嫌なんだ。クソッ、担当変えてもらうか。」
白衣の男性はドアを開け、薄暗い部屋に零を置いて出ていくのであった。
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