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「真っ白で何も見えません。」
左目を隠した零はそう言う。
黒く変色した目はもう何も写していない。
「よし、もういいぞ。部屋に行け。」
部屋に戻る最中、研究員達の話し声が聞こえた。
「これをどうにかして少量でも目に垂らせさえすれば、相手の視力を奪えることが分かりましたね。」
「激痛を伴うことも分かったから、精神的にもダメージを負わせることが出来るな。見たか?零の奴。痛みが引いてから泣きも笑いもしなくなったぞ。」
「あれっすね、痛すぎて戦意喪失って感じっすか?あはは、あんなに敵意剥き出しだったモルモットが大人しくなると、実験がやりやすくなるっすね!」
苛立ちさえもう湧いてこない。
右目の視力と共に感情を失った零は静かに部屋に戻って行った。
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