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誕生日プレゼント
「そういえばお前は9年前の今日、此処に来たんだっけか。じゃあ誕生日プレゼントをくれてやろう。」
妙に上機嫌な研究員。
今まで一度も誕生日プレゼントなんてくれたこともないのに、待ってろと部屋を出ていく研究員。
戻ってきた研究員の手には黒い何か。
「さてと、こっちへ来い。」
大人しく近付く零。
後ろを向かされ、そのままでいるよう言われる。
「暴れんなよ?」
首に『カチン』という音と共に何かを取り付けられる。
「トイレの鏡で見てくるといい。」
言われた通りにトイレへと行く零。
後ろには研究員が付いてきていた。
「なに…これ」
「これは『GPS』だ。これを付けていればお前が何処へ行っても、我々はお前が何処にいるか分かるのだ。」
あぁ……もう本当に逃げられないんだ。
そう察した零は無表情のままそう思う。
「さて、と……今日の飯は私特製のサプリメントだよ。飲みやすさにこだわったんだ。実験にも活かせるから是非感想を教えてくれたまえ。」
部屋に戻りながら研究員はそう言う。
サプリメントに感想もくそもないだろと思いながら、部屋に戻った零はサプリメントを飲む。
「……他のより 飲みやすい……です。」
「そうかそうか!それならこれからはこのタイプの錠剤にしよう!水にも溶けやすいから色々利便性がいいんだ。」
へぇ、としか思わない零だが、研究員の機嫌を損ねないよう、ちゃんと聞いていた。
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